躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか?
躁うつ病研究者で自らも躁うつ病を患っているケイ・ジャミソンさんという女性の方が、自身の病気を切り口に書いた自伝本です。
|
躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか?
|
私と比べるとかなりひどい症状を持っているらしく、重々しいエピソードが記述されてますが、 あくまで詩的に(いかにもアメリカっぽい表現と捉えることもできますが)語られているのがまず目を引きます。 この本で中心となる興味深い点は、自ら気分障害を患いつつも精神科の研究をすること、 その事実を公にするべきか否か?、そして自らの躁うつ病という病を愛せるか?といった彼女の葛藤にあると思います。 これらの葛藤はまさに患者である私達にも降りかかることであり見逃せません。 以下、エピローグからその葛藤が顕著に現れている部分を一部引用させていただきます。
ときどきわたしは自分に聞いてみる。 かりに選択できるなら、わたしは躁うつ病であることを 選ぶだろうかと。もし炭酸リチウムがなかったら、 あるいはわたしに効かなかったら、答えははっきりしている、ノーだ。 (中略) だが、炭酸リチウムはしっかり効いている。 だからこの質問を考え直すことができそうだと思う。 奇妙なことだが、わたしは病気であることを選ぶとおもう。 説明しにくいことだ。 (中略) それなのに、なぜこの病気に望むことがあるというのだろう。 だが、病気だったから得たものがあると、ほんとうにわたしはおもうのだ。 わたしはより多くのことを、より強く感じた。 より多くのことを、より強烈に経験した。 より愛し、より愛された。 よく泣いたがよく笑った。 どんな長い冬にも春の喜びがあるのを知った。 …
同じ病を経験している私としては、思わず感傷的になりながら、強くうなずいてしまう素敵な文章です。
